2001.7

NEWSLETTER         No.12  July 2001


日本コミュニケーション学会九州支部         CAJ九州支部

KYUSHU CHAPTER                  支部長:佐藤勇治(熊本学園大学)

of The Communication Association of Japan   事務局:

                               〒852-8558長崎市三ッ山町235

                                   長崎純心大学 人間心理学科

                                   畠山 均 研究室内

                                    Tel:095-846-0084

                                   Fax:095-849-1894

                              E-mail: hatakeyama@n-junshin.ac.jp



CAJ九州支部第8回大会

日 時:2001年10月7日(日)

場 所:長崎純心大学(長崎市三ツ山町235)

テーマ:コミュニケーション能力−明日への課題

プログラム:
 ・特別講演
       「日本の心を求めて30年」

       講演者 ブライアン・バーフガフニ(長崎総合科学大学教授)

 ・パネルディスカッション
       「異文化コミュニケーションの現場−コミュニケーション能力とは?」

       パネリスト  土井正隆
               (長崎県企画部国際課総括課長補佐、元長崎県上海務所長)

               宮崎聖乃
               (長崎情報ビジネス専門学校日本語科)

               辻  潔
               (向陽高等学校、CAJ会員)

       司  会   丸山真純
               (長崎大学経済学部、CAJ会員)

 ・自由研究発表  現在募集中です。締め切りは8月20日です。


講演者ブライアン・バーフガフニ氏プロフィール

1950年カナダ、ウィニペグ市に生まれる。1972年、ヨーロッパ、インド等を経て来日。翌年、臨済宗入門得度、「来庵」の僧名を受け、1982年まで雲水(修行僧)として京都の妙心寺専門道場等において9年間禅の修行を行う。1988年、ニューヨーク国連本部で開催された第3回軍縮特別総会で長崎市長の演説を同時通訳。1992年NHK大河ドラマ「信長」にイエズス会巡察視バリニャーノ神父役で出演。同年、長崎県民表彰を外国人として始めて受賞。現在、長崎総合科学大学人間環境学部教授、同大学図書館長、長崎大学非常勤講師、長崎市国際アドバイザー、長崎日英協会理事などを勤める。著書には『蝶々夫人を探して』(かもがわ出版、2000)、『庵』(グラフ社、1995)、『時の流れを超えて:長崎国際墓地に眠る人々』(長崎文献社、1993)、『花と霜:グラバー家の人々』(長崎文献社、1989)などがある。





支部会員紹介


田所信成(福岡大学名誉教授) 

紹介者:佐藤 勇治(CAJ九州支部長)

「太平洋コミュニケーション学会」当初からの会員でCAJ会員中最高齢の田所信成先生(現在福岡大学名誉教授、78歳)のご紹介を致します。支部大会ではご講演をいただいたり、ワークショップをも開講していただいておりますが、いくつになられても先生が学問研究と教育に精進なさるお姿は、私たち後進の身にいつも無言の激励を送っておられるように感じます。

 先生は大分県のご出身で、東京外国語学校泰語部(現在の東京外国語大学タイ語学科)を卒業され、九州大学文学部と同大学院で英文学を学ばれました。昭和18年の「学徒出陣」で戦地に行かれた経験もあります。福岡大学には約39年の長きにわたり勤務されまして、この間ヘンリー・ジェイムズを中心とした英米文学研究と英語教育(広く言語教育)に取り組まれ、様々な業績を残されました。

 先生のご研究の中では、従来の外国語学習を「知識としての学び」として、これに疑問を呈し、「生きたコミュニケーションとしての学び」に転換するよう提唱・実践されたことが、私たちコミュニケーション研究者の心を惹くところです。この視点から、先生の英語でのコミュニケーション教育にあっては、「身体活動も含めた全人格的自己表現」が重視されています。先生のお考えの理論的基盤については、先生の最初のご著書で日本図書館協会選定図書にもなりました『英語の学び−「構え」と「発声」−』(学書房、1975)などをご覧ください。

 先生は、語学ラボラトリー学会(現在、外国語メディア教育学会)と関わり深く九州支部長を3期6年にわたりお勤めになり、コミュニケーションの実践・研究の国際団体Toastmasters Internationalの会員としても活動しておられます。




井上奈良彦(九州大学大学院)

現在、九州大学において英語教育と大学院異文化コミュニケーション講座を担当しています。「コミュニケーション」関連の授業では「英語ディベート」「言語コミュニケーション論」「コミュニケーション技術要論」などを開講しています。詳細はホームページ(http://www.rc.kyushu-u.ac.jp/~inouen/)をご参照ください。

 現在の主たる研究分野は、議論(特にディベート)の談話構造の分析とCMC(コンピューターを介したコミュニケーション)の英語教育への応用です。その他広く、言語・文化・コミュニケーションの関係に興味をもっています。また、ディベートの教育・普及にはずっと携わってきました。昨年度まで7年間にわたって日本ディベート協会の会長も務めていました。

 コミュニケーション研究に関わるきっかけとなったのは、大学時代にESSでディベートと出会ったことです。ディベートの理論というものがアメリカでは教育・研究されていると知り、日本でもスピーチやディベートを専門に扱わないといけないと思いました。大学では英文学を学び、卒業後中学・高校で英語を教え出した1980年頃に日本コミュニケーション学会にも入ったと記憶しています。

 近年、日本の大学でコミュニケーション関連の講座なども増えましたが、まだまだ確立した分野として認知されているとは言えないでしょう。私自身も、アメリカの大学でスピーチコミュニケーションを勉強したいと思いつつ、いろいろな事情で果たせずに今に至っています。修士課程は筑波大学で英語教育を専攻し、博士号はハワイ大学で言語学(コミュニケーションの民族誌)の分野で取得しました。実は、研究分野としてコミュニケーションを分析するということになると、言語学や社会学、人類学、心理学など関連分野でも同じ現象を扱っているわけで、「コミュニケーション学」の独自性というのは打ち出しにくいところです。学問の世界の政治力学を考えると新しい分野は学際領域として存在せざるを得ないのでしょうか。




伊佐雅子 (沖縄大学)

 私は沖縄大学の人文学部国際コミュニケーション学科で、「異文化コミュニケーション」「日米比較文化論」、「言語コミュニケーション」、「非言語コミュニケーション」を担当しております。国際コミュニケーション学科のある大学は沖縄では本学だけです。

沖縄と言えば、みなさんはまさに異文化コミュニケーションの本場だと思われることでしょう。まさにそのとおりで、アメリカ人、南米からの移民、中国人などが多く、大きいスーパーやデパートでは英語と中国語のアナウンスがあり、また、ドルも使えます。

 出身は福岡県筑後市で、沖縄に来て今年で4年目です。「伊佐」という名字は沖縄に多いためか、沖縄人とよく間違えられますが、実際に会うと沖縄人にはみえないと言われます。こちらの学生は「沖縄タイム」でのんびりしているため、時間の感覚を教えるのに苦労してます。

 専攻は「異文化コミュニケーション、国際コミュニケーション」です。アメリカでの大学院時代は、異文化適応の問題に興味をもち、特に、女性の異文化適応の現象を調査しました。最近は人の文化移動ばかりではなく、モノ(アイディア)の歴史的変遷(例えば、日本人美人像の変遷)にみられる国際文化交流の特性を研究することにも手を広げています。現在は電子メディアとコミュニケーションの関係に興味を持っております。21世紀は情報化時代と礼賛されていますが、現代文明の発展には必ずプラスとマイナスの面がみられます。新メディアがどのように我々のコミュニケーション行動や思考形態に影響を与えているのかを研究しています。この成果は学会などで、発表したいと思っております。遠隔地にいますので、九州支部の会員の方とはお会いする機会は少ないかとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。




渡辺洋子(長崎純心大学)

長崎純心大学英語情報学科の渡辺洋子と申します。数年前に札幌でCAJの全国大会が開催された時にメンバーになりました。白状すると学会に参加するというより、久しぶりに札幌を訪れたいという気持ちから、その当時同じ学科にいましたアメリカ人の教員と一緒に南の端からはるばる北へ向かったわけです。その後は翌年にでも脱退しようと思っていたのですが、幸か不幸か、その頃、同僚の畠山先生が支部長をしておられ、また特に九州各地の先生方と知り合いになってしまったことで足を洗えなくなり今日に至っています。

さて、本学にこの春開設されました新しい学科に所属することになり、今まで以上に新学期が慌しく過ぎています。学科が新しい、学生も一年生のみ、なぜか教員だけは古いのですが、気分は新任のつもりでといったところでしょうか。学生に負けないように一応張り切っていますものの、帰宅したらどっと疲れ、翌日の授業の準備がやっとという有様です。現在、「総合英語」、「実用英語演習」、「Writing」、「英語学特論」、「文献講読演習」等を担当しています。

英語教育に携わることになって自分でも驚くほどの年月がたってしまいました。目下、初期のアメリカ史、コンピュータと英語教育、言語テスト等に興味があります。日々の雑事におわれ、勉強不足がたたっていますので少し充電したいと思っているこの頃です。同じ分野で教育と研究に励んでおられる方々に是非よろしくご教示お願い申し上げます。今年は秋にここ三ツ山の本校でCAJの学会が開催されます。皆様にお会いできるのを楽しみにしています。




前川智子(長崎大学非常勤講師)

 初めに略歴を。長崎大学教育学部英語科を卒業後、企業に就職、退職・結婚・出産・育児と平凡な毎日の中、子供の成長と共に自分の時間を見つけては英語の実践的学習と活動を始め、次第に国際会議等での通訳を行うようになりました。1994年に母校の教育学部でも大学院が開設することになり、挑戦。運良く合格した後は昼間は大学院で若い学生さん達と机を並べる傍ら、夜は米軍佐世保基地内メリーランド大学に通うという、かつて無い猛勉強の2年間を過ごしました。1996年、英語教育修士を取得、1997年からは3年間の期限付きではありましたが、長崎総合科学大学で常勤講師として英語科目を担当。そして2000年4月以降現在まで、長崎大学全学教育・教育学部・環境科学部、長崎総合科学大学工学部で非常勤講師として英語科目を担当しています。

 このように、大学での教育・研究者としては、かなり遠回りをしてきたわけです。従って研究分野としても、純粋な学問的な事柄ではなく、自らの実践活動に基づいたものとなっています。一つは、国際交流や通訳などの活動を通して知り合った世界各国の方々との交流の中から芽生えてきた関心事である、異文化コミュニケションです。異文化コミュニケションの必要性、異文化コミュニケションに於ける日本人の特質等について、CAJ年次大会や支部大会でも発表しました。

 もう一つの分野は英語指導法ですが、私自身の学習法も参考にしながら、4技能のコミュニケーション力を向上させる指導法を確立したいと考えています。中でも現在は特に、リスニング力向上のための教材探求の研究を進めています。

 余暇は、通訳の手伝いを通して市民としての平和活動も行っています。異文化コミュニケションの究極の目的は世界平和だと認識しながら。CAJには1996年に入会しました。先生方との交流が楽しく、支部大会には殆ど参加しています。実年齢に比べ、教育・研究者としては未熟な私ですが、先生方の温かい御指導を今後とも宜しくお願い致します。




事務局から

第8回支部大会のプログラムは9月上旬までには郵送いたします。

このニュースレターを次の号からe-mailで受け取りたい方はその旨、事務局まで連絡ください。なお、ニュースレターはWindows、MS-Word 2000で作成します。