2002. 6
NEWSLETTER No.14 June 2002
日本コミュニケーション学会九州支部 CAJ九州支部
KYUSHU CHAPTER 支部長:佐藤勇治(熊本学園大学)
of The Communication Association of Japan 事務局:
〒852-8558長崎市三ッ山町235
長崎純心大学 人間心理学科
畠山 均 研究室内
Tel:095-846-0084
Fax:095-849-1894
E-mail: hatakeyama@n-junshin.ac.jp
支部長挨拶 |
支部長 佐藤勇治(熊本学園大学)
新緑の美しい初夏の訪れに心を躍らせておりましたが、早くも梅雨を迎える季節となりました。支部会員の皆様にはお変わりなく、ご健勝のことと拝察いたします。皆様のご協力をいただきながら、何とか支部運営の舵取り役も2年目を迎えることができました。これまでのご理解とご支援に厚く御礼申し上げます。いろいろと不行き届きのことばかりで、皆様のご期待にそえるような仕事が十分できているかどうか心配なことばかりですが、今後とも皆様のご意見をお聞きしながら任を全うしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、10月には既にご案内しましたように、第9回九州支部大会を大分県の日本文理大学で開催します。私たち執行部のみならず、現地では清水先生や井上先生に準備のためにご尽力をいただいております。日本文理大学には第3回支部大会でお世話になって以来6年ぶりの会場校となっていただきましたが、皆様の日頃のご研究の成果を共に分かち合う良い場となることと確信しております。8月20日の締め切りに向けて、多数の研究発表が寄せられますことを期待しております。
今年の執行部の最大の課題は九州支部紀要の発行を実現することですが、関係各位のご協力を得ながら準備を進めております。編集委員会の正式な発足や、それに伴う編集方針の立案や規程の設定などを経て、今年の支部大会での研究発表論文と投稿論文を基にした支部紀要を来年には発刊できる方向で動いて参ります。CAJの支部としては初めての紀要発行となりますので、うまく創刊できますよう皆様のご協力を改めてお願い申し上げます。
九州支部は来年10周年を迎えます。畠山前支部長のご尽力で長崎純心大学で第1回支部大会を開催して以来、少しずつですが私達の九州支部は着実に成長してまいりました。10周年を迎えるにあたり、来年は盛大にお祝いし今後のますますの発展の礎にしたいと考えております。10周年に備えた企画など、皆様のご意見がございましたら事務局までお寄せ下さい。私達支部会員一人一人にとって意義ある10周年になりますよう、よろしくお願い致します。では、再会の日までお元気でご活躍下さい。
支部会員紹介 |
(敬称略&順不同)
宮平勝行(琉球大学)
日本コミュニケーション学会の会員になって既に十余年が過ぎたでしょうか。全国大会にはしばしば出かけましたが、九州支部の研究大会にはなかなか足を運ぶことができませんでした。それにもかかわらず、自己紹介のコラムに投稿する機会を与えていただき、更にこのほど刊行の運びとなった九州支部「紀要」の編集委員のお仕事までおおせつかって、とても恐縮しています。慣れない仕事ですのでご迷惑をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私の研究活動ですが、主に異文化間の言語行動を対象にやってきました。ことば(コミュニケーション)は人を隔てることにもなりますが、異なる言語世界を生きる人と人を結びける手段であり、場であり、結びつきそのものであると考えます。共有できることば(シンボル)の意味やお互いに納得のできる行動規範を創造するプロセスを詳しく見ていくことで、ことばで人が「すること」がよく理解できるようになります。また、このような異文化間の相互行為のプロセスを考察することで、それぞれの文化(スピーチコード)の独自性や普遍性が浮き彫りにされます。このような相互行為のしくみとスピーチコードの内実を会話分析やエスノグラフィーの方法論を用いて明らかにしていくのが私の研究課題です。
こうした研究課題について、卒論指導や大学院生対象の「比較文化特論」などの講義を通して学生たちと一緒に考えています。「言語コミュニケーション科学」や「言語コミュニケーション特殊講義」などの講義では語用論や社会言語学、コミュニケーション論にいたるまで、広い範囲にわたって基本的な理論を紹介しています。また、スピーチ・コミュニケーションのバックグランドとワシントン大学でTAをやっていた経験を生かして、「英語スピーチ」や「英語ディベート」のクラスも担当しています。
これらのクラスに共通教育の英語科目が加わるため、担当クラスが多いうえに、日々雑務に追われる身で、研究活動もままなりませんが、九州支部での活動をバネに少しでも前進したいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
飼牛万里(中村学園大学)
現在中村学園大学にて、2000年度新たに発足しました流通科学部で、主に“実務英語”や異文化理解に関するコース等を担当しています。
“実務英語”は、ビジネス英語は勿論のこと、グローバル化した現代社会において、様々な社会活動の現場に必要とされる国際コミュニケーション・ツールとして、それを文化的な観点からとらえ、学習者の国際理解、国際視野の拡充を目ざしています。
日本コミュニケーション学会には、現在の大学勤務と同時に入会致しました。異文化コミュニケーション、国際コミュニケーションを専門とする身にとりまして、最適な学会であると思っております。
少々個人的な話になりますが、これまでの人生を振り返って見ますと、異文化コミュニケーション、国際コミュニケーションは私にとりましては人生そのものと申しても過言ではありません。
戦後間まもない子供時代、日本が物資に事欠き貧しかったころ、医学者である父の研究のため、家族とともにアメリカに渡り、太平洋を船で4回横断、さらに北米大陸を車で2回横断という今では考えられないような経験をしました。数年間のアメリカ生活を通して、子供ながらに広い世界と異文化(多文化)の中に身を置き、人間相互の理解の難しさとすばらしさを体験したのでした。このことが将来人と人、文化と文化、国と国を結びつける仕事をしたいと思うきっかけになりました。
大学を出て社会に入ってからはその思いを実践すべく、福岡アメリカン・センター、駐日米国大使館、国連大学等の国際機関や、福岡市美術館等の文化機関、さらには自身の事務所グローバリンクおよび4年間のフランスでの活動や各国歴訪を通して、多種多彩な国際文化交流プロジェクトに従事しました。同時に、翻訳活動と言語教育にも力を入れてきました。人間相互の理解を可能にするものは感動であるという信念から、特に翻訳分野では、1992年、アメリカのエイズ患者のポートレート写真とメッセージを収めた写真集“おそれずに人生を”(講談社)を企画・翻訳、2000年にはジミー・カーター元米国大統領著の絵本“海のかいじゅうスヌーグル”(石風社)を企画・翻訳し、出版しました。共に大きな社会的反響を頂きました。
混迷する現代社会で、異文化の理解とコミュニケーションがますますその重要性を増す中、それを次世代の人々に教え、伝え、自らの研究を深めて行くことが私の使命であると考えています。今後ともよろしくお願いいたします。
八尋 春海(西南女学院大学)
この学会に入会したのは、まず同僚の橋本満弘先生の人柄にひかれてというのが最も大きな理由でした。学会活動に参加する際に、仲間と楽しくお酒が飲めるということは私にとって必要条件なのです。研究という創造性を駆使する作業には、柔軟な発想を生む環境なくしては考えられません。だいたいこういう基準で行った判断には間違いがありません。この学会についても、その判断はもちろん正解でした。
私は、大学では英語学を専攻しました。卒業後に民間企業から県立高校教諭を経て大学院に入り、そこでアメリカ文学を専攻しました。「では現在の専門は何ですか?」と聞かれると困ってしまいます。例えば、ここ半年の間、学会で発表したテーマは、キリスト教、映画、アメリカの帝国主義政策、日本人論、新学習指導要領、環境問題など多岐にわたっています。一見すると一貫性がないようですが、一応、「次世代に元気を!」を研究の旗印にしています。
ところで、私は現在、映画英語教育学会(office@atem.org)の九州支部支部長を務めています。一個人としては、映画には全く興味がありませんが、支部活動を通じてさまざまな方から映画についてご教示いただき、何とかそれを還元したいと思っているところです。これまで、(研究上の理由と言うより)学生の要望に応えて、映画についての本を10冊ほど作成しました(現在も3冊作成中)。正直言って、映画に詳しくない私がこのようなことに携わるのに何となく罪悪感がありますが、他方、学生が喜ぶ姿に満足もしています。
肝心の「コミュニケーションに」関しては、私自身がRKB毎日放送(九州では最大の放送局)の番組審議委員を務めていることもあり、マスコミュニケーションに関心があります。特に現在は、「メデイア規制3法案と取材及び表現の自由」というテーマと格闘中です。それこそ「次世代の元気を奪う」とんでもない法案であり、しばらくは腰を据えて研究をしようと思っています。
西原真弓(活水女子大学)
こんにちは。活水女子大学文学部英語学科の西原真弓と申します。活水には2000年から勤務しております。それまでは、長崎外国語短期大学で教えておりました。現在、「異文化コミュニケーション」「ことばと人間」「通訳法」「英語科教育法」「英語文法」「英作文」「セミナー」などを担当しています。セミナーでは4年生、3年生に、それぞれ「英語音声学」「コミュニケーション」を中心に授業しております。ゼミの内容から考えて、一体この人の専門は何だろうと疑問に思われる方もおられるかもしれませんね。
アメリカの大学院在籍中に、TESOLの資格をとりながら、社会言語学も学びました。フィールドワーカー・社会言語学者として活躍されている大学の教授陣が集う研究会等に参加するにつれ、先生方の生き方、仕事の楽しさに触れ、生きた人間の言葉に触れていたいという思いが膨らみました。それがコミュニケーションに興味をもったきっかけです。しかし、本来の専門は英語教育でありますので、音声教育、コミュニケーション活動を通した英語文法教育のあり方など、英語教育全般に関して興味があります。現在、特に強い関心を持っている分野は、英語教育としての音声教育と異文化コミュニケーションです。
1994年に長男、1997年に長女を出産したこともあり、1994年から1999年までは子育てをしながら大学の授業・雑務におわれる毎日でした。研究からは遠のいておりましたが、2000年にコミュニケーション学会に入会させていただき、翌年は全国大会に参加致しました。全国大会でお会いした九州支部の先生方は、とてもきさくで親切な方ばかりで、楽しい時を過ごすことができました。今後共、どうぞよろしくお願い致します。
清水孝子(日本文理大学)
日本文理大学の清水孝子です。今年は、大分の日本文理大学でCAJ九州支部第9回大会を開催します。支部大会は1996年の第3回大会以来、6年ぶりの大分での開催となります。1994年に「アジア・太平洋地域理解のための異文化間コミュニケーション・ワークショップ」を本学で開催し、その時の参加者の一人が前支部長の畠山均先生でした。その縁で、2度、支部大会を引きうけることになった次第です。
大学では、1994年度より、英語関連科目の他に「異文化間コミュニケーション」を担当、そして、2002年度からは、その講座名を「多文化共生社会論」に変更。異文化接触を避けては通れない社会に大きく変容しつつある日本社会に生きる学生たちに、言語コミュニケーション、非言語コミュニケーション、価値観、宗教・信条、ジェンダーなどの文化的相違やその多様性の存在を意識させ、最終的には、そのような多様な人達が、同じ場で共に生きていく社会を実現させるために、私たちに一体何ができるのかということを考えさせ、実行させることがねらいです。この10年間を振り返ると、日本社会の価値観も学生たちの価値観も多様化し、従来のような日本的伝統的価値観でひとくくりしてしまうことはとても危険であるように思えます。日々悪戦苦闘しております。
ところで、今、大分は、「ワールドカップ」で盛りあがっています。さまざまな国のチームは決して一色ではなく、その選手たちのそれぞれの異質な色がチームの活力となっていることを見ながら、「多文化共生とはこういうことなのか」と気づかされます。
今年の支部大会をワールドカップ開催の大分で開くという関係で、基調講演ではその関係者をお招きしたいと準備しているところです。是非、たくさんの方々に参加して頂きたいです。では10月に、皆様にお会いできることを楽しみにしております。
事務局からのご案内 |
CAJ九州支部第9回大会
日 時:2002年10月13日(日)
場 所:日本文理大学(大分県大分市)
テーマ:異文化コミュニケーションの原点
プログラム:
特別講演 大会テーマに沿った内容での講演を予定しています。今年は大分市でサッカーワールドカップの試合が3試合開催されますので、できればワールドカップ関係者で草の根交流や国際ボランティア活動などに携わった方にお願いできればと考えております。
自由研究発表 現在募集中です。発表希望者は氏名、連絡先の住所、e-mailaddress、電話番号、ファックス番号、所属、発表タイトル、発表時に使用希望の機器、200〜300字程度の発表要旨を九州支部事務局までメール、ファックス、郵送のいずれかの方法でお送りください。締め切りは8月20日必着です。
事務局からのお願い |
4月から連絡先住所等が変更された会員の方はお手数とは思いますが、変更先を事務局までご一報ください。