2004. 8

NEWSLETTER         No.17  August 2004


日本コミュニケーション学会九州支部         CAJ九州支部

KYUSHU CHAPTER                  支部長:佐藤勇治(熊本学園大学)

of The Communication Association of Japan   事務局:

                               〒852-8558長崎市三ッ山町235

                                   長崎純心大学 人間心理学科

                                   畠山 均 研究室内

                                    Tel:095-846-0084

                                   Fax:095-849-1894

                              E-mail: hatakeyama@n-junshin.ac.jp



支部長挨拶

第11回支部大会を迎えるにあたり

支部長 佐藤勇治(熊本学園大学)

 CAJ九州支部第11回大会まで残すところ約1ヶ月となりましたが、皆様お元気でお暮らしのことと思います。今回の支部大会はCAJ創設以来初めて沖縄で開催する記念すべきものです。これまでは、優れた研究活動を行われている会員がおられる地域であるにもかかわらず、本土から離れているという地理的条件や会員数が少ないといった事情のために、全国大会はもちろん支部大会も開催することができない状態にありました。

 今回は会場を提供していただきます沖縄キリスト教学院大学のご好意と、伊佐先生、兼本先生、宮平先生はじめ関係各位の暖かいご支援のもとで、沖縄での開催が可能になりました。この場を借りて心から御礼申し上げます。昨年の10周年記念大会で支部の基礎作りは一応終了しましたが、新たな発展の時期を迎える最初の支部大会を沖縄で開催することができますことは、今後の九州支部の行く末に益々明るい希望を与えてくれるものと確信しております。

 沖縄はご承知のとおり太平洋戦争末期の沖縄戦では約19万人もの死傷者を出すという悲劇を体験し、戦後はアメリカの統治下に置かれ、1972年の本土復帰後も長く米軍基地問題で苦しみ続けている地域です。このような状況にもかかわらず、美しい自然環境の中で、琉球王国以来の優れた文化を持ち、沖縄人であることへの誇りと他者への暖かい思いやりとを持つ人々が暮らす場所でもあります。このような沖縄でコミュニケーションの問題を研究することは、人間がどうしたら平和のうちに共存できるか、また私たちは何ができるかを考える良い契機にもなることと思います。

 今回の支部大会では沖縄の文化に造詣の深い高良先生の特別講演や各種の研究発表、レトリック研究者によるパネルディスカッションが予定されております。また、九州支部の新たな発展のために新役員の選出と支部規約改定も総会でご審議いただきます。遠隔地ではありますが、多数の支部会員の皆様が参加されますことを期待しております。九州支部の次の発展の10年への歩みを沖縄から始めましょう。

 最後に、このニュースレターは当初今年の2月に発行する予定でおりましたが、私の個人的な事情でこのような時期にお届けすることになりましたことを深くお詫び申し上げます。支部長を4年間務めましたことに免じてお許しいただければ幸いに存じます。

それでは10月10日に沖縄でお会いしましょう。



支部大会と特別講演のご案内

■ 今回の支部大会は第11回目になります。支部大会に関する詳細は本HPに掲載してありますので、ご確認下さい: 年次大会のページ



■開催校を代表して挨拶

伊佐雅子(沖縄キリスト教学院大学)

 皆様におかれましてはご清祥にてお過ごしの事と思います。さて、このたび、日本コミュニケーション学会(CAJ)の第11回九州支部大会を沖縄で開催できますことを、当地の会員一同、心より喜んでおります。沖縄で支部大会が開催できますことは、光栄な事であり、私どもの願いでございました。支部大会が開かれる10月は、こちらではまだ日差しが強く、青い海に青い空を満喫できる季節でもあります。また、沖縄はこれまでバスとタクシーのみで、定時定速の公共の交通機関はありませんでしたが、昨年の8月、モノレール(「ゆいレール」)が開通しました。そのおかげで、那覇空港から首里駅(終点)までは27分で到着します。

 今回の支部大会は、この首里駅からタクシーで15分ぐらいのところにある、新設の沖縄キリスト教学院大学で開催されます。この大学は沖縄キリスト教短期大学(キリ短)を基盤として、新設4年生大学を発足させたばかりです。高台に聳え立つ、一見お城のようにみえる建物で、遠くには海が一望の下に見渡せ、また、近くには石造りのシーサー(獅子像)や沖縄式のお墓もあり、沖縄文化を身近に感じさせてくれる場所にあります。大学のモットーは「大きな世界に開かれた小さな大学」です。新設の大学のため、行き届かない点もあるかと思いますが、この支部大会が有意義で実りあるものになりますように、これから準備を進めてゆく所存でございます。講演者は、琉球史を専攻されている高良倉吉氏(琉球大学教授)を予定しております。多くの会員の皆様のご参加をお待ち申し上げております。



支部総会議案のご案内


今大会中に支部総会を開き、CAJ九州支部会則の改定を議案として提出したいと考えております。下記の改定案を支部総会前までにお目を通されて下さい。特に今年は支部役員の改選に時期に当たっておりますので、本件は非常に重要となりますので、宜しくお願いします。

■CAJ九州支部会則(改定案)

第1条(名称) 本支部は日本コミュニケーション学会九州支部と称する。

第2条(目的) 本支部は日本コミュニケーション学会会則に規定する事業を九州地区で
          行うことを目的とする。

第3条(会員) 本支部の会員は日本コミュニケーション学会会員であって、九州地区に
          居住する個人または団体とする。

第4条(役員) 本支部に次の役員を置く。
          イ)支部長    1名     ロ)副支部長    1名
          ハ)事務局長   1名    ニ)運営委員    若干名
          ホ)会計監査   2名

第5条(役員の職務)支部役員の職務は次のとおりとする。
             イ) 支部長は支部を代表し、支部活動全般を総括する。
             ロ) 副支部長は支部長を助け、必要に応じて支部長の代理をする。
             ハ) 事務局長は支部事務全般を総括する。
             ニ) 運営委員は支部活動の実務を担当する。
             ホ) 会計監査委員は支部活動の監査を行い、その結果を総会に
                報告する。

第6条(役員任期)役員の任期は一期2年とし、再任を妨げない。ただし、3期以上
            勤めることはできない。

第7条(役員選出)役員の選出は支部総会において行う。役員人事の原案は支部長が
           提案し総会の承認を経て選出される。役員に就任することを希望
           する会員は、交代時期の半年前までに事務局に申し出なければ
           ならない。

第8条(運営) 本支部の運営は、第4条に定めるイ)−ニ)の役員から構成され支部長
          を委員長とする運営委員会が担当する。また、支部運営に必要とされる
          総務、紀要編集、広報などの各種委員会を運営委員会の下部組織として
          設けることができる。

第9条(財務) 本支部の運営は本部からの補助金、支部大会参加費、広告収入、出版等
          の支部活動収入および寄付金をもってこれを行い、支部総会と本部に
          会計報告を行うものとする。

第10条(事務局)本支部の事務局は原則として支部長在任校に置く。事務局は日常の
            支部事務を総括する。

第11条(総会) 本支部は総会を年1回開催する。ただし、支部長がその必要性を認め
           た場合と、支部会員の三分の一以上の求めがあった場合には、臨時
           総会を開催することができる。いずれの場合も、その定足数は委任状も
           含めて支部会員総数の二分の一以上とする。

第12条(会則改定)本会則の改訂は支部長の発案を受けて運営委員会で審議し、その
            結果を総会で委任状を含む三分の二以上の賛成による承認を得る
            ことにより行うものとする。



財)日本学会事務センター破綻に関して


この件に関して、日本コミュニケーション学会本部事務局から連絡が入っておりますので、そのままご連絡致します。CAJ本部HPにて随時情報を掲載しておりますので、そちらもご覧下さい。

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九州支部会員各位

     (財)日本学会事務センター破綻についてお知らせ

 既に皆様には、書面・HP上にて学会事務センターの破綻に
関連し、状況のお知らせと、会費納入等についてのお願いを
して参りましたが、8月17日に開催された関係人説明会にて
下記のことが判明いたしましたのでお知らせいたします。

(1)(財)日本学会事務センターが保全管理下におかれた
  8月6日より前に振り込まれ、当学会が未回収の会費について
  は、返還の可能性が極めて低いことがわかりました。

    会費は、本来、当学会(CAJ)の資産ではございます。
    しかし、既にご報告の通り、学会事務センターが業務契約に
    違反して、各学会に会員より送金された会費を学会事務セン
    ターの運営費に流用しておりました。
    破産、という事態に陥った現状では、当学会の資産ではあり
    ますが、学会事務センターより返還されること(法律上「配当」
    といいます)は困難となりました。
    すなわち、問題となる期間にお支払いいただいた会費は、
    学会事務センターより、当学会の事務局に送金されておりま
    せん。ただし、違法による流用という事実は明確です。
    したがって、当学会は、今後、他の学会と協議の上、会費の
    返還請求について学会事務センターの現在及び過去の理事者
    に対して行うことができるのか否かなど、総合的に検討していきます。
    しかし、この手続きには、相当の時間を要します。
    そこで、当面の処置として、問題となる期間中に会費をお支払い
    頂いた会費は、関係書類により、お支払いの事実が判明した時点で、
    お支払日にお支払い頂いたと経理処理を行い、この期間中の会費分
    を損失とします。

(2)会員の皆様の連絡先や会費納入状況を含むデータは、準備が
  出来次第返還される予定です。


今後の事務委託については目下検討中です。それまでは、学会
事務局が今まで委託をしていた全ての業務を行いますので、皆様には
対応が遅いなど、ご迷惑をおかけするかと思いますが、ご理解と御協
力をお願い申し上げます。

以上
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支部会員紹介

(敬称略&順不同)

飯田 一郎 (西南女学院大学)

 CAJの会員となり約10年になります。入会のきっかけは勤務校の同学科に元会長の橋本光弘先生がおられたこと、ジョージタウン大学のTESOL講座で「異文化コミュニケーション」の講義を受けたことでした。
学生時代は英語よりフランス語の方に熱をあげていました。70年代のフランスに留学した時、南仏の農家に住込み2ヶ月ブドウ狩りをしたことがワインの味と異文化を体験した始まりでした。

 民間企業勤務時代、アメリカでの駐在員となり現地従業員とのビジネス習慣に関する違和感や人事上での摩擦を経験したことから、当初は異文化ビジネスコミュニケーションに関連した発表を「国際ビジネスコミュニケーション(旧商業英語)学会」等で行っていました。ジョージア州の姉妹校では交換教授としてアメリカの学生に「異文化ビジネスコミュニケーション」を教える機会を得ることができました。アメリカの学生は自分の意見を発露する場を与えないとフラストレーションが溜まるので、毎回授業の最初に日本とアメリカのビジネス習慣を支持、不支持するグループに振り分け議論させると、前もって準備した上で熱心に講義に参加してくれました。また、成績評価にあらゆる手段を使って食い下がる態度は日本の学生には見られないもので、貴重な異文化コミュニケーションの体験を得ることができました。

 2001年から1年間、ロンドン大学で客員研究員として17世紀の商業・交易に関する文献を調査し、現在はこれらの資料に基づいて論文を執筆しているところです。「コミュニケーション学会」で使用している意味での “communication” という語はOxford English Dictionary ではロックの1690年の文献が初出となっていますが、1662年のロンドン商人による文献に同じ用例が見られます。コミューニケーションの歴史を探ってみるのも、おもしろそうだと考えています。

 教育の現場では「ビジネス英語」や「ビジネスコミュニェーション」の科目を担当しています。テキストを読んで訳すだけでなく、テキストから得た情報を学生が発信できるように授業を工夫しているところです。研究と違って教育の場は教員と学生が授業を楽しむ場でありたいと思っています。



西岡 和子 (西南女学院大学)

 前任校から西南女学院に赴任して10年目を迎えようとしていますが、現在所属している人文学部人文学科は発足してようやく2年が過ぎたところです。新しい学部にしては随分とクラシックな名前を冠することとなり、いかに新しくておいしいワインを注ぎ込むことができるか、一同奮闘しているところです。学科名の懐の深さ(?)を反映してか、入ってくる学生の志向や得意分野もかなり幅があると実感しています。加えて新々人類ともいうべき世代の女子学生たちとの日々は、いながらにして「異文化コミュニケーション」の学習の場となっている次第です。

 わたくしはもともと時事英語のテクスト分析を研究分野として出発しましたが、ここ数年の関心は、日英語間の同一ジャンルのテクストを比較分析することによって、そこに現れる日英語文化の差異について考えることです。例えば、映画批評という同じ名前で呼ばれているテクストであっても、英(米)語文化におけるそれと日本語文化におけるそれでは一読してたいへん異なっているわけですが、分析によって抽出される差異とそれが起因する文化的背景を考察するというようなことです。

 しかし、まだ暗く混沌とした海を自己流の犬掻きでジタバタ(アメリカ人の知人が違うコンテクストで使ったmessing aroundという表現がピッタリで気に入っています)するだけでちっとも先に進まず、氷山の端っこに指先一本もかからないような状況です。2000年度には勤務校より1年間Wales大学のDr. Jenny Thomasのもとに勉強に行かせてもらい、やはりGenre Analysisの分野の先行研究を踏まえることからやってゆくのがよいとの助言を得て帰ってきました。しかし、ご明察のとおり、そこには新カリキュラムでの試行錯誤で研究する余裕がない、という恰好の口実が待っていたのでした。最近では、ややもすると「ストレスを溜めないことが一ばん大切、気長に細く長く」という悟りの(危険)域に入らんとする自分をいかに引き戻すかに腐心しています。

 また、上記研究の関連分野をmessing aroundするうちに異文化理解と文化政策との接点にも関心を持つようにもなり、こちらの方も視野にいれながら少しずつでも進んでいきたいと思っているところです。

 このようなわたくしにとって、学際的で刺激的な研究成果にふれることのできるCAJ九州支部会はカンフル注射のような存在です。今後ともどうかよろしくお願いいたします。

                                                             以上